【ネオチャーム】シミックの魔除け【フォー・セル】
2013年1月14日 MTG(ネタ) コメント (6)
ネオサイタマに聳える悪の根城、トコロザワ・ピラー十三階。ここはマツバガニのダミー会社、ネコソギ・ファンドの事務所である。窓の外では、空からの攻撃を防ぐため、数十基のサーチライトが慌しく夜空を切り裂いていた。
マツバガニは長さ十メートルもある高級一枚板のデスクに座り、葉巻をふかす。今日の彼の装束は戦闘服ではない。シミック製薬との商談があるからだ。ビジネス用のアルマーニスーツ上下に、鎖頭巾、黄金メンポという出で立ちである。それでも、全身から殺気がみなぎっていた。
「マツバガニ=サン、新型のシミックの魔除けができました」シミック製薬の営業が、汗をふきながらしどろもどろで説明する。数億というカネが動く一大取引だ。マツバガニの機嫌を取るために、大トロ粉末を30キログラムも持参している。
「見てみよう、シミック=サン。ワシを落胆させないでくれよ」マツバガニは席を立ち、シミックの営業と並んで、吹き抜けになっている十二階を見下ろした。十二階はアリーナ状になっており、それをぐるりと見下ろす十三階のガラス窓は、すべて強靭な防弾ガラス製となっている。
「あれです」シミックの営業が指差す先には、黒いスーツに身を包んだプレイヤーの手札に十数枚のシミックの魔除けがセンスのように整然と並んでいた。表向きは江戸時代から続く風邪薬メーカー、シミック製薬は、数々の生体兵器を裏社会に流通させる死の武器商人でもあるのだ。
「サバンナライオンを放せ」マツバガニがブザーボタンを押しながら命令する。もう一方のプレイヤーが騙し討ちから場に出し、メキシコ産の凶悪なライオンが姿を現すと、たちまち相手プレイヤーに飛び掛った!並の人間なら相打ち程度でしか殺せない、恐るべき猛獣だ。
だがシミックの魔除けは、"target creature to its owner’s hand"し、一糸乱れぬバウンスでライオンを手札に送った。他にも、まったく同じ動きで"target creature gets +3/+3 until end of turn"したり、まったく同じ動きで"permanents you control gain hexproof until end of turn"したり、まったく同じ動きで墓地に落ちたりする。ナムアミダブツ! 何という汎用性か!
「ムハハハハハ!」マツバガニは哄笑する。「敵はもうサバンナライオンでも、タルモゴイフでも、墓忍びでも同じことです」シミックの営業も、ネズミのような笑い声を漏らしながら自慢げに語った。「シミックならではの万能感です。シミックの魔除けは無敵です」しかし彼の笑いもここまでだった。
「ではエムラクールを放せ」マツバガニがブザーを押した。 何だって?シミックの営業の顔が曇る。失禁し、営業スーツの前がほんのり湿る。騙し討ちの起動コストが払われ、エチゼンクラゲに良く似たクリーチャーが姿を現した。全長100メートル近くありそうな巨体が特徴だ。
シミックの魔除けが身構える前に、エムラクールは想像を絶するほどの素早い動きと力で、戦闘に移った。手札の十数枚のシミックの魔除けで一斉にバウンスしようとする。だが対象にとれない!シミックの魔除けを抱えたプレイヤーは、恐怖の悲鳴を上げた。
ゼンディカー製の巨体はブーメランのような軌道を描き、ボーリングのピンのように並んだパーマネントを滅殺しながら、ライフを削り取った。プレイヤーを失ったシミックの魔除けたちは、手札に抱えられたまま、片づけられることになった。
「ムハハハハハ! ストライク! ムッハハハハハハ!」マツバガニはセンスを広げて大笑いしていた。彼は弱者が虫けらのように死ぬのを見るのが何よりも好きなのだ。
「マツバガニ=サン、申し訳ありません」シミックの営業は恐怖のあまり床に倒れて、喘息を起こしたマグロのように口をぱくぱくとさせていた。「責任をとってセプクします」
「いや、いい」マツバガニはセンスをぴしゃりと閉じる。「魔除けがモダンやレガシー級に強ければ、いつ寝首をかかれるかわからんではないか。シミック=サンよ、今回も良い仕事だった」「毎度ありがとうございます」シミックの営業は息も絶え絶えに立ち上がり、前をハンカチで拭いた。
「しかし、貴様はワシのオフィスの床を汚したため、生かしてはおかん」マツバガニがボタンを押すと、シミックの営業の足元が開き、人食いズワイガニの群がるプールへと真っ逆さまに転落した。営業がカニに手足を喰われるのを見下ろしながら、マツバガニはこの日最高の笑い声をあげる。
以上、バップル=サンからのリクエストでした。
《引用》
ネオヤクザ・フォー・セル
http://togetter.com/li/73449
マツバガニは長さ十メートルもある高級一枚板のデスクに座り、葉巻をふかす。今日の彼の装束は戦闘服ではない。シミック製薬との商談があるからだ。ビジネス用のアルマーニスーツ上下に、鎖頭巾、黄金メンポという出で立ちである。それでも、全身から殺気がみなぎっていた。
「マツバガニ=サン、新型のシミックの魔除けができました」シミック製薬の営業が、汗をふきながらしどろもどろで説明する。数億というカネが動く一大取引だ。マツバガニの機嫌を取るために、大トロ粉末を30キログラムも持参している。
「見てみよう、シミック=サン。ワシを落胆させないでくれよ」マツバガニは席を立ち、シミックの営業と並んで、吹き抜けになっている十二階を見下ろした。十二階はアリーナ状になっており、それをぐるりと見下ろす十三階のガラス窓は、すべて強靭な防弾ガラス製となっている。
「あれです」シミックの営業が指差す先には、黒いスーツに身を包んだプレイヤーの手札に十数枚のシミックの魔除けがセンスのように整然と並んでいた。表向きは江戸時代から続く風邪薬メーカー、シミック製薬は、数々の生体兵器を裏社会に流通させる死の武器商人でもあるのだ。
「サバンナライオンを放せ」マツバガニがブザーボタンを押しながら命令する。もう一方のプレイヤーが騙し討ちから場に出し、メキシコ産の凶悪なライオンが姿を現すと、たちまち相手プレイヤーに飛び掛った!並の人間なら相打ち程度でしか殺せない、恐るべき猛獣だ。
だがシミックの魔除けは、"target creature to its owner’s hand"し、一糸乱れぬバウンスでライオンを手札に送った。他にも、まったく同じ動きで"target creature gets +3/+3 until end of turn"したり、まったく同じ動きで"permanents you control gain hexproof until end of turn"したり、まったく同じ動きで墓地に落ちたりする。ナムアミダブツ! 何という汎用性か!
「ムハハハハハ!」マツバガニは哄笑する。「敵はもうサバンナライオンでも、タルモゴイフでも、墓忍びでも同じことです」シミックの営業も、ネズミのような笑い声を漏らしながら自慢げに語った。「シミックならではの万能感です。シミックの魔除けは無敵です」しかし彼の笑いもここまでだった。
「ではエムラクールを放せ」マツバガニがブザーを押した。 何だって?シミックの営業の顔が曇る。失禁し、営業スーツの前がほんのり湿る。騙し討ちの起動コストが払われ、エチゼンクラゲに良く似たクリーチャーが姿を現した。全長100メートル近くありそうな巨体が特徴だ。
シミックの魔除けが身構える前に、エムラクールは想像を絶するほどの素早い動きと力で、戦闘に移った。手札の十数枚のシミックの魔除けで一斉にバウンスしようとする。だが対象にとれない!シミックの魔除けを抱えたプレイヤーは、恐怖の悲鳴を上げた。
ゼンディカー製の巨体はブーメランのような軌道を描き、ボーリングのピンのように並んだパーマネントを滅殺しながら、ライフを削り取った。プレイヤーを失ったシミックの魔除けたちは、手札に抱えられたまま、片づけられることになった。
「ムハハハハハ! ストライク! ムッハハハハハハ!」マツバガニはセンスを広げて大笑いしていた。彼は弱者が虫けらのように死ぬのを見るのが何よりも好きなのだ。
「マツバガニ=サン、申し訳ありません」シミックの営業は恐怖のあまり床に倒れて、喘息を起こしたマグロのように口をぱくぱくとさせていた。「責任をとってセプクします」
「いや、いい」マツバガニはセンスをぴしゃりと閉じる。「魔除けがモダンやレガシー級に強ければ、いつ寝首をかかれるかわからんではないか。シミック=サンよ、今回も良い仕事だった」「毎度ありがとうございます」シミックの営業は息も絶え絶えに立ち上がり、前をハンカチで拭いた。
「しかし、貴様はワシのオフィスの床を汚したため、生かしてはおかん」マツバガニがボタンを押すと、シミックの営業の足元が開き、人食いズワイガニの群がるプールへと真っ逆さまに転落した。営業がカニに手足を喰われるのを見下ろしながら、マツバガニはこの日最高の笑い声をあげる。
以上、バップル=サンからのリクエストでした。
《引用》
ネオヤクザ・フォー・セル
http://togetter.com/li/73449
コメント
ご指摘ありがとうございます。
修正しました。
グルールチャームもでたので一応新しいの書きます。
>トノキチ
いいか、トノキチ。ニンジャは実在しないんだよ。
>ニクヨク=サン
いつかのバップル=サンのDNであったネタですよ。