サツバツ◆オルゾフの魔除け◆タイム
2013年1月16日 MTG(ネタ) コメント (4)
磨き上げられた御影石の床に、赤いLEDライトの数字が反射する。部屋の壁にはくまなく大型モニタと束ねられた高速LANケーブル類が並び、刻々と変動する株価が中継される。最新技術の粋が集められたこの部屋は、しかし宇宙ステーションなどではない 。ここはwotc社のホールの一つだ。
今、50畳ほどもあるこの部屋には、高級スーツを着込み分厚い眼鏡をかけた開発チーム5人と、この開発チーム入りを目指す3人のテストプレイヤーがいる。さらに、開発チームたちの後ろには一段高くなったリフト式タタミが浮かび、チェアマンであるマローが江戸時代の武将のごとく威圧的に座っているのだった。
「シミック製薬は創業何年ですか」開発チームが出題する。「ハイ」とクルーカットのテストプレイヤーが ボタンを押し、回答権を得た。「どうぞ」「37年です。風邪薬メーカーとして創業しました。私は二番目の効果は destroy target creature and you lose life equal to that creature’s toughnessがいいと思います」「アタリです」開発チームらは顔を見合わせ 、手元のキーボードで何事かを入力する。カードの効果が採用されればされるほど、テストプレイヤーの開発チーム入りは近づくのだ!
「オルゾフの魔除けの一番目と二番目の効果は決まりました」開発チームが言った「三番目の効果はサツバツタイムで決めます。皆さんがどれだけオルゾフの魔除けに対してギリギリの効果を付けられるかアピールしてください。ハイ、ではプレイヤーへのダメージ1点軽減からスタート」。3人のテストプレイヤーらはゴクリと唾を飲んだ。……一瞬の静寂 !
「2点軽減です」ボブカットのテストプレイヤーがボタンを押して言う。開発チームたちが手元のキーボードで何事かを入力する。「3点軽減です」とクルーカット。「4点です」とチョンマゲ。皆、手に汗握り、目を血走らせ、心臓は破裂寸前だ。時折横 に目配せし、互いを威嚇する。さながらバクチを打つヤクザのよう。
紫色のラメスーツを羽織り、黄金のヘルムとメンポで顔を隠したマローは、江戸時代の武将の如き威厳で腕を組み、成り行きを高みから見下ろしている。 wotcの首領である彼は、弱者が虫ケラのように死ぬのを見ることと、カードの効果をぶっ壊すことが、何より好きなのだ。
「6点です」とクルーカットが一気に勝負に出た。 見事な手際だ。彼は知的な 笑みを禁じえない。他の2人は、やられたといったジェスチャーを見せる 。除去モードもあるのにこれ以上カードパワーを上げると、また社長室に呼び出されてしまうだろう。そんなことは、ストレス耐性のない彼らには耐えられない。
しばし静寂が支配する。開発チームらがカタカタとキーボードを鳴らす。その肌はつやつやと綺麗だ。 流石は開発チーム、よく食べ、よく寝ているのだろう。焦燥感に負け、追い詰められたネズミ達が動き出す。「1ドローです」と唇を噛み締めながらチョンマゲ。「対戦相手1ディスカード(ただしソーサリータイミング)です」と泣きながらボブカット。
この無慈悲なるサツバツタイムのカードパワー調整は、マローその人によって考案され、現在では数々のエキスパンションでも用いられるようになった 。「ムハハハハ……」マローは右肘を赤漆塗りの枕に預けながら、タイガーの描かれた扇子で優雅に体を扇いでいる。その眼はカタナのように細く、全く表情を読めない。
クルーカットは呆然としていた。6点軽減で勝ったと思ったが、読みが甘すぎたのだ 。「対戦相手の手札を見て1ドローです」「対戦相手の手札をランダムで1枚見て、土地でなければディスカード(ただ しソーサリータイミング)です」さらにレースは続く。クルーカットはニューロンをフル回転させた… ((開発チームはテストプレイヤーを顎で使える。 数回の社長室呼び出しに耐え切れば、カチグミ的な待遇になるはず))
「ウオーッ! オルゾフチャーム・バンザイ!!」 クルーカットはボタンを叩き、その場で立ち上がってバンザイの姿勢を取った。これには一同呆気に取られ押し黙り、彼の発言を見守るしかない。場の流れは完全に彼のものだ。パン、パン、パン、という気だるげな拍手が上から聞こえた。マローだ。
「ムハハハハ、威勢の良い若造だ……」マローの眼光が突如、抜き身のカタナのように鋭くと光る「それで、いくらまで壊す?」。クルーカットは膝を震わせながら叫んだ「この通り、return target creatu re card with converted mana cost 1 or less from your graveyard to the battlefieldです!」。ナムサン ! 狂気の沙汰だ! 「場に出る!アイエエエエ!」 他の2人の学生もその場で絶叫する。
「ムッハハハハハ! 面白い、貴様の効果を採用だ 」マローは閉じた扇子でぴしゃりとクルーカットを指した。「ヨロコンデー! 」クルーカットはその場で涙を流しドゲザする。実のところ、マローにとってこのオルゾフの魔除けの効果を決めるのは余興にすぎない。ドラゴンの迷路ではもっとぶっ壊れカードを収録させる予定なのだ。
半ば、惰性で続けているニンジャスレイヤー改変魔除け紹介でした。
デッドムーン・オン・ザ・レッドスカイ #4 より
http://togetter.com/li/89761
今、50畳ほどもあるこの部屋には、高級スーツを着込み分厚い眼鏡をかけた開発チーム5人と、この開発チーム入りを目指す3人のテストプレイヤーがいる。さらに、開発チームたちの後ろには一段高くなったリフト式タタミが浮かび、チェアマンであるマローが江戸時代の武将のごとく威圧的に座っているのだった。
「シミック製薬は創業何年ですか」開発チームが出題する。「ハイ」とクルーカットのテストプレイヤーが ボタンを押し、回答権を得た。「どうぞ」「37年です。風邪薬メーカーとして創業しました。私は二番目の効果は destroy target creature and you lose life equal to that creature’s toughnessがいいと思います」「アタリです」開発チームらは顔を見合わせ 、手元のキーボードで何事かを入力する。カードの効果が採用されればされるほど、テストプレイヤーの開発チーム入りは近づくのだ!
「オルゾフの魔除けの一番目と二番目の効果は決まりました」開発チームが言った「三番目の効果はサツバツタイムで決めます。皆さんがどれだけオルゾフの魔除けに対してギリギリの効果を付けられるかアピールしてください。ハイ、ではプレイヤーへのダメージ1点軽減からスタート」。3人のテストプレイヤーらはゴクリと唾を飲んだ。……一瞬の静寂 !
「2点軽減です」ボブカットのテストプレイヤーがボタンを押して言う。開発チームたちが手元のキーボードで何事かを入力する。「3点軽減です」とクルーカット。「4点です」とチョンマゲ。皆、手に汗握り、目を血走らせ、心臓は破裂寸前だ。時折横 に目配せし、互いを威嚇する。さながらバクチを打つヤクザのよう。
紫色のラメスーツを羽織り、黄金のヘルムとメンポで顔を隠したマローは、江戸時代の武将の如き威厳で腕を組み、成り行きを高みから見下ろしている。 wotcの首領である彼は、弱者が虫ケラのように死ぬのを見ることと、カードの効果をぶっ壊すことが、何より好きなのだ。
「6点です」とクルーカットが一気に勝負に出た。 見事な手際だ。彼は知的な 笑みを禁じえない。他の2人は、やられたといったジェスチャーを見せる 。除去モードもあるのにこれ以上カードパワーを上げると、また社長室に呼び出されてしまうだろう。そんなことは、ストレス耐性のない彼らには耐えられない。
しばし静寂が支配する。開発チームらがカタカタとキーボードを鳴らす。その肌はつやつやと綺麗だ。 流石は開発チーム、よく食べ、よく寝ているのだろう。焦燥感に負け、追い詰められたネズミ達が動き出す。「1ドローです」と唇を噛み締めながらチョンマゲ。「対戦相手1ディスカード(ただしソーサリータイミング)です」と泣きながらボブカット。
この無慈悲なるサツバツタイムのカードパワー調整は、マローその人によって考案され、現在では数々のエキスパンションでも用いられるようになった 。「ムハハハハ……」マローは右肘を赤漆塗りの枕に預けながら、タイガーの描かれた扇子で優雅に体を扇いでいる。その眼はカタナのように細く、全く表情を読めない。
クルーカットは呆然としていた。6点軽減で勝ったと思ったが、読みが甘すぎたのだ 。「対戦相手の手札を見て1ドローです」「対戦相手の手札をランダムで1枚見て、土地でなければディスカード(ただ しソーサリータイミング)です」さらにレースは続く。クルーカットはニューロンをフル回転させた… ((開発チームはテストプレイヤーを顎で使える。 数回の社長室呼び出しに耐え切れば、カチグミ的な待遇になるはず))
「ウオーッ! オルゾフチャーム・バンザイ!!」 クルーカットはボタンを叩き、その場で立ち上がってバンザイの姿勢を取った。これには一同呆気に取られ押し黙り、彼の発言を見守るしかない。場の流れは完全に彼のものだ。パン、パン、パン、という気だるげな拍手が上から聞こえた。マローだ。
「ムハハハハ、威勢の良い若造だ……」マローの眼光が突如、抜き身のカタナのように鋭くと光る「それで、いくらまで壊す?」。クルーカットは膝を震わせながら叫んだ「この通り、return target creatu re card with converted mana cost 1 or less from your graveyard to the battlefieldです!」。ナムサン ! 狂気の沙汰だ! 「場に出る!アイエエエエ!」 他の2人の学生もその場で絶叫する。
「ムッハハハハハ! 面白い、貴様の効果を採用だ 」マローは閉じた扇子でぴしゃりとクルーカットを指した。「ヨロコンデー! 」クルーカットはその場で涙を流しドゲザする。実のところ、マローにとってこのオルゾフの魔除けの効果を決めるのは余興にすぎない。ドラゴンの迷路ではもっとぶっ壊れカードを収録させる予定なのだ。
半ば、惰性で続けているニンジャスレイヤー改変魔除け紹介でした。
デッドムーン・オン・ザ・レッドスカイ #4 より
http://togetter.com/li/89761
コメント
他のみたいに罪罰でパッと思いつくシーンがない‥‥
>テッペイ=サン
ネコソギファンドの集団面接の面白さは安定感がありますね。